本記事ではiPhone12 Proシリーズから対応したApple ProRAWの特徴・メリット・デメリット・使い方を一般的な写真の形式であるRAWとJPEGと比較しつつ解説します
JPEGとRAWの違いをザックリ解説
ProRAWの解説の前に、RAWとJPEGと呼ばれるデータ形式について解説をします
尚、iPhoneではカメラの設定で『高効率』を選択することでJPEGの約2倍の圧縮率を持つHEIF形式での写真の保存が可能ですが、本記事では便宜上JPEGに絞って解説をします
JPEGは『調理済みの料理』、RAWは『調理前の材料+基本レシピ』に例えることができます
調理済みの料理は味付けを後から大きく変えることができないのと同様に、JPEGデータも後から写真の色味や明るさを大きく変えることが難しい写真のデータ形式です
一方で、RAWは調理前の材料と基本のレシピに例えることができます
基本レシピを参考に材料の量や調味料を調整して自分の好みに料理をアレンジできるのと同様に、RAWは色味や明るさの調整幅が大きい自由度の高いデータ形式です
もう少し深掘りしていきます
デジタルカメラはセンサが捉えた情報を写真の状態にする為に『現像』と呼ばれる画像処理を行い、その結果をJPEGとして出力し保存します
そして、現像の過程で写真の構成に使わなかった情報は捨ててしまいます
一方でRAWは、『カメラ内の現像が行われる前の最低限の加工を行ったセンサー信号のデータ』で、現像する前のJPEGの元となるデータです
この為、RAWはJPEGよりもたくさんの明るさや色の情報を持っています
RAWの注意点は、RAWはただのセンサーが捉えた信号データなので、現像アプリ(ソフト)を使って現像をして写真の状態にする必要があることです
なぜRAWを使うのか?RAWのメリット
RAWを使うメリットは一言で言うと、『JPEGより明るさや色編集の自由度が高い』なのですが、ここではそのことをもう少し具体的に見てみます
RAWはホワイトバランスの調整が自在
撮影時の露出やホワイトバランスが適正で、ホワイトバランスの調整が微調整の範囲であれば、JPEGでも問題が起きることはありません
一方で撮影時のホワイトバランスの設定を大きく失敗してしまったケースではJPEGでは対応しきれないことがあります
JPEGは元となるRAWデータを現像する過程で現像に不要な情報を捨ててしまっていて、調整の為の遊びが少ない為です
一方、RAWに記録されているホワイトバランスは、撮影の瞬間のホワイトバランスを記録したものに過ぎず、センサーが捉えた信号データは全て残されています
つまり、RAWであれば後から自由にホワイトバランスを変更することができます
一例として、撮影時にホワイトバランスをわざと青(1,800K)に寄せた写真をRAWとJPEGそれぞれの形式で撮影し、それぞれの写真を適切なホワイトバランスになるように調整をしてみました
撮影はマニュアル撮影とProRAWの撮影に対応しているiPhoneのカメラアプリであるMomentのPro Cameraを使用しました
ホワイトバランス調整前 JPEG▼
ホワイトバランス調整前 ProRAW▼
ここからJPEGと、RAWそれぞれナチュラルな見た目になるようにホワイトバランスを調整していきます
本当は正しい方法ではないのですが私自身がカラーチェッカーを所有していない為、コピー用紙の白を基準にホワイトバランスを調整しました
左)JPEG WB補正後 右)ProRAW WB補正後▼
結果はJPEGの方は適切なホワイトバランスに調整することができませんでした
ホワイトバランスを調整しようとしても、カメラ内の画像処理の過程で多くの色情報が失われているため、このケースのような極端にホワイトバランスが崩れた写真は正しいホワイトバランスに復元することができません
一方で、RAWのデータの中にはカメラがホワイトバランスを調整する前の情報がそのまま残されているので、適正なホワイトバランスに調整することができました
極端なことを言うと、RAWで撮影すれば撮影時のホワイトバランスはどんな状態でも関係なく、後から現像時に自由にホワイトバランス調整をすることがでます
最後に補正前のProRAWとホワイトバランス、露出、カラーを補正したProRAWの写真を比較してみます
繰り返しとなりますがJPEGではこのような調整をすることはできません
露出オーバー(白飛び)の調整幅が大きい
JPEGは『人間の目は、暗いものに対して感度が高く、明るいものに対して感度が低い』という特性を利用して、現像の過程でハイライト(明るい側)の情報をより多く間引いて記録しています
一方で、RAWには現像前の情報がそのまま残されているので、JPEGと比較して特にハイライトの調整に強いという特徴があります
実際の写真でJPEGとRAWのハイライトの調整に対する許容度を比較してみます
写真はSONYのミラーレス一眼のA6400で撮影し、露出の調整と現像には現像アプリの定番であるLightroomを使用しました
以下が露出補正前のオリジナルのRAWの写真▼
▲逆光のシチュエーションで空は白飛びし、暗部は黒潰れしています
ヒストグラムを確認するとハイライト(波形の右側)とシャドウ(波形の左側)がそれぞれ右と左にはり付き白飛び、黒潰れしていることが確認できます▼
ここからJPEGデータとRAWデータをそれぞれ同じ補正をかけ比較していきます
ハイライトと白レベルと最小値の-100に、シャドウと黒レベルを最大値の+100に調整▼
露出調整後のJPEGデータ▼
露出補正後のRAWデータ▼
通常はここまで極端な補正は行いませんが・・・
JPEG、RAWとも露出補正により白飛びしていた空の色と黒潰れしていた暗部の細部が見えてきました
パッと見た感じでは両者に大きな違いは無いように見えますが、特にハイライト側に顕著な違いがあり、RAWの方が写真の細部の情報が残っていることが分かります
- JPEGに対してRAWが優れているところ
- 空のグラデーションが滑らか
- 天井からぶら下がっているライトの格子が鮮明
- 光が強く当たっている建物の壁の質感が鮮明
このようにRAWは特にハイライト側に対して調整の許容度が大きいことが特徴です
RAWデータの調整前後の比較▼
JPEGとRAWのビット数に関する注意点
JPEGやRAWの違いをweb検索しているとビット数の話にたどり着きます
このJPEGとRAWのビット数は誤解しやすいことがあるので少し解説します
いくつかのWebのソースを確認すると、JPEGは8bitであるのに対して、RAWは12bitあるいは14bitなのでRAWの方が色の表現力が高くRAWが優れている、という趣旨の説明を見かけます
この理解は間違いではないのですが正確ではないと感じます
JPEGのビット数(8bit)とRAWのビット数(12bit/14bit)は比べる為の物差しが違うので、そもそも両者のビット数を横並びに比べることができないことに注意が必要です
JPEGは1画素はRGB各色8bit(全24bit)の色情報を持っており、且つこの情報をガンマを使って効率的に押し込めています
一方でRAWは1画素は明暗(白黒)情報しか持っておらず、且つこの情報をリニアに12bitや14bitで記録しています(明暗情報からどのように色を作っているかは次項に少し解説しています)
つまりJPEGとRAWではデータの保存形式が全く違うので、単純にビット数だけで両者を比較する意味が無いと言えます
ProRAWとは?ProRAWとRAWの違い
前項で解説したJPEGとRAWの違いを踏まえてProRAWについて解説していきます
ProRAWはRAWと従来のiPhone写真のいいとこ取り
ProRAWはRAWという名前が付いてますが一般的なRAWとは少しデータの中身が違います
iPhoneは、Appleがコンピュテーショナルフォトグラフィーと呼ぶ高度な画像処理の機能を備えています
暗部から明部までバランスの良い写真に仕上げる『Smart HDR』、低・中光量の環境で写真を綺麗に仕上げる『Deep Fusion』、夜間の写真を美しく仕上げる『Night Mode』のような画像処理がその代表例です
これらの画像処理の機能により、iPhoneのカメラは誰でもどのような環境でも綺麗な写真を撮影することができます
ProRAWは標準的なRAWの情報に加えて、これら『Smart HDR』、『Deep Fusion』、『Night Mode』のようなApple独自の画像処理のデータをRAWのファイル形式の一つであるDNGというフォーマットの中に収めています
ProRAWはアマチュアの写真撮影・編集技術を補ってくれるアップルのノウハウが詰まった画像処理の結果と、RAWと同等の編集の柔軟性の2つを両立するいいとこ取りのデータと言えます
ProRAWと一般的なRAWの違い
以下の動画はiOS、Mac OS用の現像アプリ『RAW Power』を開発するGentleman CodersがProRAWについて解説している動画です
この動画の中でProRAWと一般のRAWの違いについて語られています
iPhoneのセンサを含む多くのデジカメのセンサはベイヤー配列と呼ばれるカラーフィルターが配置されたセンサーを使っています
ベイヤー配列のカラーフィルターが付いたこのセンサーは、『赤 x 1画素、緑 x 2画素、青 x 1画素』が1つのパターンになっていて、各1画素は赤、緑、青のいずれか一つの色の明るさを検出する構造になっています
各1画素が取り込んだデータは赤、緑、青のいずれかの明るさ(明暗)のデータでしかなく、このままでは写真にはなりません
一方で実際の写真データには1画素の中に赤、緑、青の色の情報が入っており1画素ごとに様々な色を作り出しています
RAWデータから写真の状態にする為には1画素が持っている赤、緑、青のいずれかの明暗情報から、1画素にRGB(赤、緑、青)の情報を持たせる為の画像処理を行う必要があり、この処理をデモザイク処理といいます
一般的なRAWは
この『デモザイクを行う前のデータ』で、デモザイクの処理は現像アプリ(ソフト)が行います
※デモザイクの詳細が知りたい方は以下のリンクを参照下さい▼
一方AppleのProRAWは、
『デモザイクが完了しRGB化されたデータ』+『コンピュテーションナルフォトグラフと呼ばれているApple独自の画像処理の結果が反映されたデータ』のようです
AppleのProRAWは一般的なRAWのベイヤーのデータではなくRGB化されたデータですが、現像の工程でホワイトバランスの調整を行う前のデータである為、一般的なRAWと同様に現像アプリ上で自由にホワイトバランスの調整が行うことができます
また、RAWはRGB化される前のセンサーが捉えた明暗の情報がリニアに12bitあるいは14bitで保管されているのに対して、
ProRAWはデモザイク後のRGBの情報がリニアに12bitのデータとして保存されている点も一般的なRAWと異なる点です
このことがRAWとProRAWにおいてどのな違いをもたらすのか私の知識レベルでは解説が難しいのですが、少なくともProRAWは8bitでガンマ補正されたJPEGよりも豊富な明るさと色の情報を持つということは確かです
さらにアップル独自の画像処理の結果を、どの程度現像する写真に反映するかの度合いを調整することのできるAPIも提供されているようです
Gentleman Codersの「RAW Power」や定番の現像アプリである「Darkroom」はこのAPIを活用し、ローカルトーンマッピングの度合いを調整することのできるPropRAW専用の「トーンマップ」と呼ばれる調整項目を提供しています
ProRAWのローカルトーマッピング
前項で紹介したローカルトーマッピングの調整機能の効果を「Darkroom」で試してみました
まずは調整前のProRAW撮って出しの写真▼
右手前にある看板のネオンに注目して下さい
露出の調整は一切行なっていないProRAW撮って出しの写真ですが、普通のカメラで撮影すると逆光で白飛びして識別が難しいはずの看板の文字がハッキリと写っています
看板の文字が不自然な程ハッキリ写っているは、看板のネオンの一部分にiPhoneの画像処理が働き露出の調整が行われている為です
この効果のことをローカルトーマッピングと言います
ここからDarkroomを使ってローカルトーンマッピングの効き目を弱めていきます
DarkroomでProRAWファイルを開くと、従来のRAWファイルでは表示されない『トーンマップ』というパラメータが『露出』の一つ下に表示されます
デフォルトではトーンマップの値は100%になっています
ここからDarkeoomのトーマップのスライダーを100%→50%→0%と下げていきます
ローカルトーマップのスライダーを50%に▼
ローカルトーマップの効きが弱まり、ハッキリ見えていた看板の文字がネオンの光の中に埋もれ始めました
さらにローカルトーマップの値を下げていきます
ローカルトーマップのスライダーを0%に▼
オリジナルの写真で見えていた看板の文字が完全に消えました
ローカルトーマップのスライダーを動かすことでネオンの写りが大きく変わりましたが、ネオン以外の空や建物には目に見える変化はありません
このようにiPhoneの画像処理機能により部分的に露出補正されていた箇所をトーマップのスライダーを0%にすることで無効にすることができました
iPhoneの画像処理の機能は非常に強力ですが、時に効果が強すぎて塗り絵のような不自然な仕上がりになる場合があります
従来のJPEGデータはiPhoneの画像処理の結果が不自然であっても、それを無効にすることができませんでした
一方でProRAWであれば、ProRAWに対応済みの現像アプリを使って、ローカルトーマップを無効にすることができます
このような使い方もProRAWを活用するメリットになりそうです
どんな時にProRAWを使えばいい?
逆光や暗所などの厳しい撮影環境の時
ここまで解説してきたように、ProRAWはRAWと同様にJPEGと比較して多くの明るさや色の情報が含んだデータです
よって、逆光や暗所、ホワイトバランスを決め辛い明かりの元での撮影等、厳しい撮影環境での撮影においてProRAWはその真価を発揮します
迷ったらProRAWで撮影
iPhoneのストレージ容量を気にせず写真をストックすることができる人であれば、迷った時は全てProRAWで撮影してしまうというのも一つの手です
通常のRAWは現像の行程で露出・コントラスト・彩度等の様々な調整を行う必要があり、一定のクオリティの写真に仕上げる為にそれなりに手間と時間がかかります
一方でProRAWはApple独自の画像処理の結果が反映されているので、現像工程で様々な調整をせずとも撮って出しの状態で従来のiPhoneのJPEG写真と同じようなクオリティーの写真を手に入ることができます
写真をショートメッセージ、メール、AirDropで共有する時は、iPhoneが自動的にProRAWからJPEGに自動的に変換を行ってくれるのでProRAWであることを意識する必要はありません
基本はProRAWで撮影しておき、ここぞというときにProRAWを編集してJPEG化するという運用が可能です
ProRAWの注意点
ProRAWはデータサイズが大きい
『とりあえず編集の自由度の高いProRAWで撮影しておく』という運用をしようとした時に問題になるのがiPhoneのストレージ容量です
ProRAWは従来の写真ファイルと比較してかなりファイルサイズが大きくなります
このことはProRAWの設定画面でも説明されています▼
iPhoneのカメラはProRAW以外に、『JPEG』とJPEGよりも圧縮率が高い『HEIF』の2つのファイル形式をサポートしています
そして、ProRAWはJPEG/HEIFと比較してファイル容量が大きく、JPEGに対して約5倍、HEIFに対しては約10倍のデータサイズとなってしまいます
全ての写真をProRAWで保存してしまうと、あっという間にiPhoneのストレージ容量を消費してしまうので、小さめのストレージ容量のiPhoneを使っている人は注意が必要です
iPhoneのストレージ容量不足の対策
iPhoneのストレージ不足の対策として、クラウドストレージサービスを利用する手があります
おすすめは容量無制限で写真データの保存が可能なAmazon プライムのクラウドストレージサービスであるAmazon Photosです
プライム会員であることが条件となりますが、ProRAWを含む写真データを無制限にクラウド上に保管することができます
こちらの記事で詳しく解説しています▼
ポートレートモード/Live PhotosとPro RAWは同時に使えない
一眼レフカメラのような背景のボケ感を画像処理で擬似的に作り出す『ポートレートモード』と、撮影前後1.5秒ずつの映像を記録してくれる『Live Photos』の機能とProRAWを併用することができません
『ポートレートモード』、『Live Photos』の機能をオンにすると自動的にProRAWがオフになります
ProRAWの本格的な現像には専用の現像アプリが必要
iPhone標準の写真アプリの編集機能でもある程度の現像(編集)をすることは可能ですが、ProRAWの真価を発揮するには十分とは言えません
ProRAWの本格的な現像にはLightroom、Darkroom、等の専用の現像アプリを使うことでProRAWの本来のポテンシャルを引き出すことができます
標準カメラアプリのProRAW設定
標準カメラアプリでProRAWを使えるように設定します
iPhoneの設定画面を開きカメラをタップします▼
フォーマットをタップします▼
Apple ProRAWのボタンをタップしてProRAWの機能をONにします▼
これで標準カメラでProRAWを使えるようになりました
標準カメラでProRAWを主に使いたい人は以降の設定に進んでください
カメラをタップして一つ前のメニューに戻ります▼
設定を維持をタップします▼
Apple ProRAWをのスイッチをタップします▼
上記の設定をオンにしない場合は、カメラアプリを終了して一定の時間が経過するとProRAWかオフになってしまいます
上記設定をするとProRAWをオンにした状態でカメラアプリを終了すれば、次にカメラアプリを起動する時もProRAWがオンのままになります
ProRAWを常用したい人はこの設定をオンに、必要な時だけProRAWを使いたい人はオフにすることをおすすめします
iPhone/iPad用の現像アプリ
本項ではiPhone/iPad標準の写真アプリと、iPhone/iPad用の現像アプリとして定番のLightroom、Darkroomの特徴を解説します
iPhone/iPad標準の写真アプリ
iPhone/iPadの標準写真アプリでもRAWの簡易的な現像が可能です
現像という言葉を使いましたが、ProRAWを含むRAWデータをJPEGやHEIFと同様に写真アプリ上で編集できると考えてください
- 写真アプリの良いところ
- 標準アプリなのでお金がかからない
- 難しい過ぎない操作性
- アップルデバイス同士のシームレスな写真共有(15GBを超えるストレージ容量を使う場合は有料)
- 写真アプリの弱点
- 他のRAW現像アプリと比較すると編集機能が貧弱
- 色や明るさを調整する際の基準となるヒストグラム(波形)の機能がない
- 書き出ししずらい(具体的なやり方は後述)
ProRAWを含む写真アプリが対応しているRAWデータは、写真の左上に「RAW」のアイコンが表示されます
RAWに対応している各社のカメラの機種は以下の公式webサイトに掲載されています
Lightroom
プロ御用達のパソコン専用の写真現像ソフトであるLightroom ClasicのiPhone/iPad版がLightroomです
全ての機能を使うには有料プランに登録する必要がありますが、無料の範囲でも標準の写真アプリ以上の機能を使うことができます
- Lightroomの良いところ
- iPhone/iPad用の現像アプリの中で最強クラスの編集機能
- アップルデバイスおよびアップルデバイス以外の様々な機器とのシームレスな写真共有と編集作業の引き継ぎが可能
- 豊富なチュートリアル
- Lightroom の弱点
- 初心者には少し扱いが難しい
- サブスク費用が高め
Darkroom
DarkroomはLightroomと標準写真アプリの中間に位置するアプリです
Lightroomほど複雑な機能はありませんが、標準の写真アプリも高度な編集をすることができます
また、ProRAWやポートレートの編集においてはLightroomにはない機能を持っています
- Darkroomの良いところ
- 標準写真アプリより高度な編集ができ、Lightroomほど機能が複雑でなく初心者向き
- iPhoneのカメラ機能に特化した編集機能がある
- ProRAWのローカルトーンマッピングの強度の調整に対応
- ポートレート写真の被写界深度の調整に対応
- ポートレート写真の被写体と背景をそれぞれ独立して調整
- JPEGより圧縮率が高いHEIF形式で書き出しできる(Lightroomは未対応)
- Darkroomの弱点
- 写真編集に徹底的にこだわりたい人にとってはLightroomと比較して機能が不十分
- 写真の共有機能がない為、異なるデバイス間で編集作業を引き継ぐことができない
機能比較|写真アプリ vs Darkroom vs Lightroom
筆者の主観で、十分な機能を持っていると判断したものは◯、機能はあるけど完璧ではないものは△、全く対応していないものは✖︎としています
写真アプリ | Darkroom | Lightroom | |
サブスク | – | 2,100円/年 550円/月 |
5,400円/年 550円/月 |
基本調整 | ◯ | ◯ | ◯ |
フィルター | ◯ | ◯ 一部有料 | ◯ 一部有料 |
ヒストグラム | ✖️ | ◯ | ◯ |
ホワイトバランス | △ | △ | ◯ |
トーンカーブ | ✖️ | △ 有料 | ◯ |
HSL(色相) | ✖️ | △ 有料 | ◯ |
カラーホイール | ✖️ | ✖️ | ◯ |
ディティール | △ | △ | ◯ |
RAW編集 | ◯*1 | ◯*1 | ◯* 有料 |
ProRAW編集 | △ | ◯ | △ |
ポートレート | △ | ◯ | ✖️ |
部分補正 | ✖️ | ✖️ | ◯ 有料 |
修復 | ✖️ | ✖️ | ◯ 有料 |
レンズ補正 | ✖️ | ✖️ | ◯ |
サイズ変更 | ✖️ | ✖️ | ◯ |
ジオメトリ | ✖️ | ◯ | ◯ 有料 |
書き出し設定 | ✖️ | ◯ | ◯ |
人物認識検索 | ◯ | ✖️ | ◯ |
クラウド保存 | ◯ | ✖️ | ◯*2 有料 |
ビデオの調整 | △ | ◯ 有料 | ✖️ |
フラグ | ✖️ | ◯ 有料 | ◯ |
カスタムアイコン | ✖️ | ◯ 有料 | ✖️ |
*1:アプリごとに対応するRAWフォーマットが異なります
*2:Adobe Creative Cloudへの加入が必要です
表示写真アプリでProRAWからJPEGに書き出して共有する方法
標準写真アプリにはProRAWからHEIFやJPEGに書き出すための操作メニューは用意されていません
純正の写真アプリから他のデバイスに写真を共有する時に、自動的にProRAWからHEIFやJPEGに書き出され送信される仕組みになっています
どのようなファイル形式で他のデバイスに共有されるかは
- 共有する方法(SMS, メール, Airdrop)
- 共有するデバイス(iOS, Mac OS, Android)
- ProRAWを写真アプリ上で編集しているか否か
の条件によって変わります
整理すると以下の通りになります
基本は、元なるProRAWのデータが未編集・編集済み関わらずHEIFかJPEGに自動的に変換され送信されます
未編集のProRAWデータをAirdropで送信する場合だけ、唯一ProRAWのまま送信されます
ProRAWファイルを他デバイスに共有する方法
上記の通り、ProRAWファイルをSMS、純正のメールアプリで他のデバイスに共有する場合には自動的にHEIF形式あるいはJPEG形式に変換されてしまいます
ProRAWファイルのまま他デバイスに共有したい場合には『Airdrop』もしくは『それ以外』の方法を使う必要があります
Airdropで共有する
未編集のProRAWファイルはAirdropを使うことでProRAWファイルとして他のiPhone/iPad/Macに共有することができます
ただし、『一度でも編集をしてしまったProRAWファイル』はSMS/メール/Airdropのどの共有方法を使ってもHEIFかJPEGに自動変換されてしまいProRAWファイルのまま共有することができません
よって、編集済みのProRAWファイルをProRAWファイルのままAirdropのまま他デバイスに共有するためには、編集済みのProRAWファイルを『元に戻す』の操作で未編集の初期状態に戻す必要があります
オリジナルのProRAWファイルを編集済みの状態で残しておきたい場合には
- オリジナルのProRAWファイルの複製を作成する
- 複製したProRAWファイルを『元に戻す』の操作で未編集の初期状態に戻す
- 初期状態に戻した複製ProRAWファイルを他デバイスにAirdropで共有する
- 複製したProRAWファイルを削除する
の手順で対処することができます
純正メールアプリ以外のメーラーを使う
純正のメールアプリを使ってProRAWファイルを送信しようとすると自動的にJEPGに変換されてしまいますが、純正以外のメーラーを使えばProRAWファイルのままデータ送信することができます
コメント