iPhoneのカメラ性能はとても高く映画でも使える画質を持っています
そんなiPhoneでも難しいのが、一眼レフカメラで撮影したようなボケ感のある映像の撮影です
iPhoneで撮影した映像は、パンフォーカスと呼ばれる、近くの被写体から遠くの被写体までピントがあった状態で撮影されます
ボケ感を出すことが難しいのはiPhoneのカメラの構造上仕方のないことなのですが、撮影の構図次第ではiPhone のカメラでもボケを生かした映像を撮影することができます
本記事では、iPhoneでボケ感のある映像を撮影することが難しい理由と、iPhoneでボケ感のある映像を撮影する方法を解説します
iPhoneと一眼レフカメラのボケ味 比較
iPhone 11 Pro の望遠カメラと画角が近いSony α6400+35mm f1.8の単焦点レンズで撮影した場合のボケ味の違いを比べてみました
*色味・明るさの調整はしてませんので純粋のボケ味のみ比較してください
iPhoneの映像は、手前の被写体から遠くの背景までくっきりピントが合った状態(いわゆるパンフォーカス)で撮影されているのに対して、一眼レフの映像は手前の被写体にピントが合い背景がボケた映像になっていることが分かります
iPhoneで背景がボケた映像を撮影することが難しい理由
iPhoneで使われているカメラレンズの焦点距離が短いことが原因です
焦点距離の短いレンズ=ボケにくいレンズ です
焦点距離が短いレンズを使わなければいけない理由は、iPhoneに搭載されているカメラセンサが非常に小さく、焦点距離を短くしないと実用的な画角を得ることができない為です
iPhoneに限らずスマホのカメラは全て同じ構造上の課題を抱えています
iPhone純正のカメラアプリには、ソフトウエア上で擬似的に一眼レフのようなボケ味を再現するポートレートモード機能が搭載されています
このポートレートモードは写真には対応していますが、残念ながら動画にはまだ対応していません
iPhoneのカメラでボケを活用した動画の作例
以下の動画ではiPhone12 Pro Maxで積極的に背景ボケ、前ボケを取り入れて撮影をしました
iPhoneでも構図を工夫すればボケを生かした映像を撮影することができます
(露出の設定を失敗して露出オーバーで白飛びしてるカット、露出アンダーでノイズだらけになっているカットがあります、、、大目に見て下さい、、、)
iPhoneでボケを生かして映像を撮影する方法
少し特殊な撮影構図になってしまいすが、以下の方法でiPhoneでも背景をボカして撮影することができます
背景ボケ
- カメラを被写体にできる限り近づける
- 被写体と背景の距離をできる限り離す
なんだ、そんなことかと思われるかもしれませんが・・・iPhoneで背景がボケた映像を撮影するには物理的に被写体に寄るしかありません
人物を撮影する場合には身体全体ではなく、手や目元などの身体パーツに寄って撮影する必要があります
その際に被写体と背景の距離が遠ければ遠いほど背景のボケ味が強くなります
前ボケ
前ボケを作るのは比較的簡単です
被写体の手前、且、iPhoneのカメラレンズの近くにボカしたい対象物を配置すればOKです
被写体とカメラの距離はあまり気にする必要はありません
背景ボケ/前ボケ 共通
- 広角カメラではなく望遠カメラを使用する
- 望遠カメラに外付けの望遠レンズを付ける
背景ボケ/前ボケの共通事項として、望遠カメラを使うとさらにボケ味を強くすることができます
背景ボケの事例
カメラを被写体にできる限り近づける / 被写体と背景の距離をできる限り離す
iPhoneのカメラで一眼レフカメラのように、被写体全体を写しつつ背景をボカすような撮影は難しいですが、被写体をアップで捉えつつその背景をボカす撮影は可能です
以下はiPhone 11proの広角カメラ の引きと寄りの映像の比較です
同じ広角カメラを使った撮影でも、被写体(葉っぱ)に寄ることで少し背景がボケてくれることが分かると思います
広角カメラではなく望遠カメラを使用する
広角カメラではなく望遠カメラを使うことでさらにボケ味を強くすることができます
望遠カメラで、広角カメラで撮影した被写体と同じ大きさで撮影する為には、広角カメラの撮影時より被写体から離れる必要がある点はご注意ください
望遠カメラで撮影した場合には、広角カメラで撮影した場合と比較して背景の範囲が狭まっていることにも注目してください。
望遠カメラに外付けの望遠レンズを付ける
iPhoneの望遠カメラに外付けの望遠レンズを装着することでさらにボケ味を強くすることができます
上記の比較写真ではMomentの望遠レンズをiPhoneの望遠レンズに装着しています
Momentのレンズマウントシステムはレンズの脱着が容易でお勧めです
詳しくはこちらの記事で解説しています =>Moment外付けレンズ&ケースレビュー|公式サイトでの購入方法も解説
望遠カメラを使った背景ボケ、前ボケ組み合わせた撮影事例
冒頭紹介した作例の0:22〜0:26ではiPhone12 Pro Maxの望遠カメラを使い、画面真ん中の葉っぱにフォーカスを当てることによって、背景ボケと前ボケを同時に作っています
構図を工夫すればこのようなボケ感のある映像をiPhoneでも撮影することができます
特に前ボケは、被写体の手前、且、カメラにできる限り近い場所に対象物を配置するだけで簡単にボケ感を作りだすことができるので撮影の構図に取り入れることをオススメします
iPhoneで背景ボケのある映像を撮影する場合の欠点
- 被写体に寄る必要がある為、撮影の構図に制限があります
- 望遠カメラを使うと、遠くの物を近くに引き寄せるような圧縮効果が発生する為、少し圧迫感のある映像になります
- 被写体に寄る+望遠カメラを使ったとしても、得られるボケの量はf値の低いレンズを搭載した一眼レフカメラと比較すると少ないです
アプリで一眼レフのボケ味を再現するアプリ:Focos live
iPhoneの純正カメラアプリに搭載されているポートレートモードは、一眼レフカメラのボケ味をソフト処理で再現するものです
現時点で純正アプリは写真のみポートレートモードに対応していますが、実は、このポートレートモードと同等の機能を動画でも使うことのできるFocos liveというアプリが存在します
正直、ボケ味が自然とは言えず、まだ実用的なレベルまでは達していないと感じましたが、今後アルゴリズムがアップデートされ、且つ、iPhoneの処理能力が上がれば、そう遠くない未来に一眼レフカメラのようなボケ味をソフト処理で完璧に再現できる時代が来るかもしれません
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