皆さんはiPhoneでだけで撮影された映画やミュージックビデオが制作されていることを存じですか?
iPhoneのカメラはプロの撮影現場で使われるほどのカメラ性能を持っています
そんな性能を持ったiPhoneにもかかわらず、普段撮影している動画は素人っぽくなってしまいがちです
プロが撮影した映像と何が違うのでしょうか?
もちろん、プロは高価な撮影機材や高度な動画編集ソフトを使って映像を作り上げていますが、我々のようなアマチュアでも動画制作の基本を身につければ、プロの映像に近づけることは十分に可能です
本記事では、iPhoneで撮影した動画がどうしても素人っぽくなってしまうと悩んでいる方、これから本格的な映像制作にチャレンジしたい方、映画のような雰囲気のある動画を作りたいと考えている方に向けて
「iPhoneが動画撮影初心者にとって最適の機材である理由」と「iPhoneでシネマティックな動画を撮影する方法」について解説します
iPhoneが動画撮影初心者の機材として最適な5つの理由
- iPhoneで撮影された映画やドラマが制作されるほどカメラが高性能
- 強力な手ぶれ補正機能
- 専用カメラアプリで一眼レフカメラ並みの機能を使える
- 撮影から編集までiPhoneで完結できる
- 最小限の投資で動画制作の基礎を学べる
iPhoneで撮影された映画やドラマが制作されるほどカメラが高性能
iPhone11 proは4k/60fps、フルHD/120FPS、フルHD/240fpsでの撮影が可能です
この性能は十万円以上する最新の一眼レフカメラにも匹敵する性能で、映画やドラマ制作に使われるほどの画質を備えています
実際にiPhoneだけで撮影された映画、プロモーションビデオが制作されています
iPhoneは映画品質の映像を撮影できるポテンシャルを秘めています
全編iPhone8で撮影された映画 ”High Flying Bird”
Netflixで配信されている映画です
NBA(アメリカのプロバスケットボールリーグ)のロックアウト下で、選手の代理人を務める主人公とオーナーとの駆け引きを描いた作品
全編iPhone8 で撮影されています
とてもクリアな映像と、アナモーフィックレンズ(広角レンズ)を多用した映像が印象的です
- 使用機材
- カメラ:iPhone 8
- カメラアプリ:FiLMiC Pro
- 外付レンズ:Moondog Labs 1.33x anamorphic adapter(アナモーフィックレンズ), Moment 2x telephoto lens(望遠レンズ)
- 参照記事:Cine D : Shot on iPhone for Netflix: Soderbergh’s Latest Film “High Flying Bird”
全編iPhone11 proで撮影されたセレーナ・ゴメス: “Lose You To Love Me”のミュージックビデオ
こちらのミュージックビデオも 全編iphone11 pro で撮影されています
アップル公式映像:
メイキング映像:
シンプルな白黒の映像ですが、先ほど紹介の映画と同様とてもクリアな映像です
- 使用機材(メーキング映像より推測)
- カメラ:iPhone 11 Pro
- カメラアプリ:FiLMiC Pro
- 外付レンズ:なし
手ぶれ補正機能が強力
動画撮影においては、手ぶれを極力減らすことがとても大切です
iPhoneの手ぶれ補正機能はハイスペックな一眼レフカメラでも太刀打ちできないほど強力 です
三脚やジンバルを使わなくても安定した映像を撮影することができます
手ブレ補正機能は初心者には強力な武器になります
専用カメラアプリを導入すれば一眼レフカメラ並みの機能を使える
純正のカメラアプリでも十分に高画質ですが、本格的な映像を撮影する為のマニュアル撮影には対応してません
専用のカメラアプリを導入すれば、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランス等のマニュアルの調整や、色みの編集を前提としたLogと呼ばれる方式での撮影が実現できます
Log撮影はハイスペックな一眼レフカメラにしか搭載されていない機能です
専用のカメラアプリをインストールすることでiPhoneが一眼レフカメラ並のプロユースなカメラに変貌します
本記事の中でマニュアル撮影に対応したおすすめのカメラアプリを紹介します
撮影から編集までiPhoneだけで完結できる
iPhoneで撮影した動画をパソコンの動画編集ソフトを使わず、そのままiPhoneの中で編集し完成させることができます
最近はiPhone用の動画編集ソフトの発展がめざましく、無料のアプリでも高品質の動画を作ることができるようになりました
より高度な編集をする場合にはパソコンの動画編集ソフトが必要になりますが、カット、簡易なスピードランプ、トランジョン、色味補正等の基本的な動画編集はiPhoneのアプリでも充分に実現可能 です
最小限の投資で動画制作の基礎を学べる
高品質な映像の撮影から動画編集まで、動画制作の基礎はiPhoneで身につけることができます
よりクオリティの高い映像を撮影するためには、専用のカメラアプリやスマホ用の撮影機材を購入する必要がありますが、これらを購入したとしても、一眼レフカメラとその周辺機材を購入するより遥かに少ない出費ですみます
動画制作の第一歩にiPhoneはうってつけです
そして動画制作をする上で iPhoneは決して最新機種である必要はありません
冒頭に紹介した全編iPhone8で撮影された映画 ”High Flying Bird”がそのことを証明しています
最新機種ではなくコスパの良い中古の旧型機種を購入することも一つの手です
iPhoneでシネマチックな動画を撮影する方法
- シネマチックな動画を撮影する為のカメラの基本設定
- iPhone標準カメラの設定
- マニュアル撮影に対応したカメラアプリの設定
- スローモーション撮影
- 初心者がやりがちな失敗と正しい撮影方法
- 揃えた方がよい機材
シネマチックな動画を撮影する為のカメラ設定の基本
まず初めに動画撮影におけるカメラの設定の基本について解説します
*カメラの設定ついてはこちらの記事でさらに詳しく解説をしています =>【初心者向け】動画撮影の為のカメラ設定・徹底解説
シネマチックな動画を撮影する為に必ず押さえておくべきカメラの設定は以下の3点です
- フレームレートを 24fps に設定する
- シャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に設定する
- 日中の撮影はNDフィルターを使用する
この考え方はiPhoneのカメラを使った動画撮影においても変わりません
フレームレートを24fpsに設定する
撮影フレームレートを24fpsにすることで映画独特の映像の質感に近づけることができます
フレームレートとは?
フレームレートは1秒間当たりのコマ数のこと
数字が大きいほど1秒間あたりのコマ数が増えるのでなめらかな映像になります
フレームレートが高い方が良い映像と思われがちですが、実はほとんどの映画がテレビ放送で使われている30fpsよりも低い24fpsで撮影されています
映画風の映像を作りたい場合にはフレームレートを24fpsに設定し撮影することをお勧めします
シャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に設定する
シャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に設定することで、人間の目にとって自然なモーションブラーと呼ばれる被写体の動きのブレ(残像感)を作り出すことができます
フレームレートが24fpsの場合は1/48秒〜1/60秒に設定します(アプリで設定できるシャッタースピードに依存)
被写体の動きにブレがない方が良い映像と思われがちですが、全くブレのない映像はパラパラ漫画のような不自然な映像になってしまいます
モーションブラーはシネマッチックな映像の表現には必須です
シャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に固定する弊害
シャッタースピードをフレームレートの2倍に設定すると、日中の屋外のような明るい撮影環境で映像が白飛びしてしまう問題が発生します
シャッタースピードを遅くするとカメラに光を取り込む時間が長くなる為です
そこで重要な役割を果たす機材がNDフィルターです
日中の撮影はNDフィルターを使用する
NDフィルターはカメラ用のサングラスのようなもので、装着することでカメラ内に入る光の量を減らす効果があります
主に日中の屋外のような明るい撮影環境で使用します
NDフィルターをiPhoneのカメラに装着することにより、適正なシャッタースピードとモーションブラーを維持しつつ、最適な明るさに調整することができます
NDフィルターについてはこちらの記事で詳しく解説してます =>【動画撮影向け】おすすめのNDフィルターと使い方
iPhoneにおすすめのNDフィルターは本記事後半で解説します
iPhone標準カメラアプリの設定
先ほど解説したカメラ設定の基本を踏まえ、iPhoneの標準アプリでシネマチックな動画を撮る為のカメラ設定について解説をしていきます
標準カメラの設定は非常にシンプルです
設定するのはフレームレート、解像度、露出の3つのみです
フレームレート、解像度、露出の設定
iPhoneで選択できるフレームレートと解像度は下記の通りです
シネマチックな映像を撮影したい場合は迷わず24fpsを選択しましょう
- フレームレート
- 通常のカメラモード:24fps、30fps、60fps
- スローモーションモード:120fps、240fps
- 解像度
- 高画質順:4K、HD(1080p)、720p、
カメラアプリの左上をタップすることでフレームレートと解像度を変更することができます
ただし24fpsで撮影する場合には解像度は4Kしか選べないことが注意点です
露出(明るさ)については、基本はいじらなくてもOKです
少し明るくし、もしくは暗く撮影したい場合に微調する為に使います
適正なモーションブラーに調整する方法
適正なモーションブラーを得るには、「シャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に設定する」ことがセオリーと解説しました
ところがiPhoneの標準カメラアプリはシャッタースピードをマニュアルで設定することができません
適切な明るさになるように、iPhoneが自動でシャッタースピードを調整する仕組みになっている為です
どうやってシャッタースピードを調整するの?
ちょっと強引なやり方ですが・・・シャッタースピードをマニュアルで調整することができない場合は、映像の見た目で調整します
- 標準カメラアプリでフレームレートを24fpsに設定する
- iPhoneにNDフィルターを装着する
- カメラアプリに映る被写体のモーションブラーの量を目で確認しながらNDフィルターの濃度を調整する
もう少し詳しく説明しますね
適正なモーションブラー量 = 人間の目が実際に見ているモーションブラーの量です
自分の手を高速で振ってみてください
振った手に残像が見えると思います
今度は標準のカメラアプリの映像を通して、動かしている自分の手を見てください
晴れた日の日中のような明るい環境だと、残像感がなくパラパラ漫画のような映像に見えているはずです
このような場合には、NDフィルターを装着して、手を直接見た残像感とカメラアプリの映像を通して見た手の残像感が同程度になるようにNDフィルターの濃度を調整します
NDフィルターの濃度(減光量)について
NDフィルターの濃度(減光量)はND8、ND16のように数値で表し、数字が大きいほど濃度が濃くなり減光量が多くなります
以下は私の感覚値になってしまいますが、iPhoneの広角カメラを使った場合はおよそ下記のようなNDフィルターの濃度で適正なモーションブラーと明るさが得られます
- 曇り:ND2-ND64
- 晴天:ND64〜ND128(日差しが強い場合ND400以上が必要になるケースもあります)
マニュアル撮影に対応したカメラアプリの設定
上記の通りiPhoneの標準カメラアプリはカメラの設定を細かく調整することができません
それに対して、これから紹介する2つのカメラアプリは解像度、フレームレート、シャッタースピード、ISO感度を全てマニュアルで調整でき、さらにLogと呼ばれるカラーグレーディング(色味編集)することを前提とした記録方式の撮影にも対応しています
おすすめのマニュアル撮影に対応したカメラアプリ
FiLMiC Pro:プロユースの動画専用カメラアプリ
マニュアル設定に対応した定番のカメラアプリで、プロの撮影現場で使われている実績があります
冒頭に紹介した映画、ミュージックビデオもこのアプリを使って撮影されています
プロユースのカメラ設定に対応していることと、画質が非常に良いことがプロに受け入れられている理由です
高機能であるかわり、次に紹介をするMomentより価格が高いことがネックです
Log撮影に対応するためにはさらにアプリ内での確認が必要になる点もご注意ください
iPhoneを使った撮影に徹底的にこだわりたい方におすすめします
Moment Pro Camera:動画と写真のマニュアル撮影に対応するカメラアプリ
スマホ用の外付けレンズを開発・販売しているシアトルの企業が提供しているカメラアプリ
FiLMiC Proと同様にマニュアル設定に対応しています
Log撮影した際の映像のディティールは若干FiLMiC Proに劣ると感じますが画質は十分です
私の主観ですが、アプリの操作性はFiLMiC Proより優れていると感じます
その他にFiLMiC Proよりも優れている点は、動画撮影だけでなく写真のマニュアル撮影にも対応していることと、アプリの価格がFiLMiC Proより安いことです
アプリの価格をできる限り安く抑えたい方、動画だけでなく写真もマニュアルで撮影したいという方におすすめのアプリです
Moment のカメラアプリを使ったマニュアル設定の方法
本記事ではMomentのカメラアプリを使って、シネマチックな動画を撮影する為のマニュアル撮影の方法について解説していきます
主な設定はメイン画面で操作することができます
ここではモーションブラーに関係する設定項目である、フレームレート、ISO感度、シャッタースピードに絞って解説をします
1.フレームレートを設定する
まずはフレームレートを24fpsに設定してください
フレームレートの数字をタップすると 24fps → 30fps → 48fps → 60fps → 120fps → 240fps の順に切り変わります
2.初期状態のISO感度とシャッタースピードを確認
アプリを立ち上げた直後の初期状態では、適正露出となるようにISO感度とシャッタースピードが自動で調整されています
以下の事例ではシャッタースピードが1/2000秒台とかなり早くなっています
その結果、走る車の映像に全くモーションブラーがありません
このように、自動で設定されたシャッタースピードが、設定したいシャッタスピード「1/48秒」 に対して早い場合にはNDフィルターが必要と判断できます
3.シャッタースピードを1/48秒に設定
実際に、シャッタースピードをフレームレート(24fps)の倍の1/48秒に設定してみると、カメラセンサに入る光の量が多くなり白飛びが発生しました
4.NDフィルターを装着する
シャッタースピード(1/48秒)を維持しつつ、白飛びしている状態から適正露出に調整するために、NDフィルターを装着し適正な露出(明るさ)に調整します
この際、ISO感度は一番小さい数値(広角レンズの場合は32)に設定して下さい
*ISO感度は数値が大きいほどノイズが大きくなる為できる限り小さい数値が望ましいです
この事例ではND128でちょうど良い明るさとなり、狙ったモーションブラーを得ることができました
NDフィルターの濃度(減光量)は周囲の明るさに合わせて調整をしてください
Log撮影
Filmic Pro、MomentともLog撮影に対応しています
Log方式で撮影すれば、編集で、いわゆるフィルムルックな映像、例えばオレンジ&ティール(青とオレンジを強調した絵作り)のような世界観を自在に作ることも可能です
より質の高い映像を撮影したい、動画編集で独自の世界観を表現したいと考えている方は是非Log撮影にチャレンジしてください
Log撮影は、「人間の目は明るいものほど明るさの変化に鈍感になる」という特性を利用して、ダイナミックレンジの広い映像(暗いところは黒つぶれなく、明るいところは白潰れなく)を収録する方式です
Log方式で撮影すると見た目が眠たい(コントラストが薄い)映像で収録されるので、動画編集ソフトで本来の明るさ・色味に補正を行うカラーコレクションや、明るさ・色味を好みの世界観に編集するカラーグレーディングの工程がが必要になります
編集の手間が増えるというデメリットはありますが、映像の明るさや色味の編集の自由度は非常に高いというメリットがありプロの現場で使われている収録方式です
料理に例えると
- 通常のカメラの映像:調理が終わった料理、自分の好みの味に変えることができない
- Log方式で収録した映像:素材のまま、自分の好み調理・味付けができる
動画編集ソフト上でLUTと呼ばれる設定ファイルを適用することで一発で
スローモション撮影
動画の中にスローモーション映像を織り込むとそれだけでシネマチックな雰囲気を演出することができます
スロモーションを多用すると単調な動画になってしまうので使いすぎにはご注意ください
スローモーション映像を作るには、最終的に書き出す動画のフレームレートより、撮影するフレームレートが高い必要があります
- 動画の書き出しフレームレートが24fpsの場合
- 30fpsで撮影:オリジナルのスピードの0.8倍のスロー再生
- 60fpsで撮影:オリジナルのスピードの0.4倍のスロー再生
- 120fpsで撮影:オリジナルのスピードの0.2倍のスロー再生
高いフレームレートで撮影する場合も、「シャッタースピードはフレームレートのおよそ2倍に設定する」というルールは変わりません
60fpsで撮影する場合にはシャッター速度を1/120秒に設定します
撮影中にスローモーションにするかはっきりイメージできない場合には、とりあえず60fpsで撮影しておくのもありです
24fpsで撮影した映像を後からスローモーションにしようと思っても対処のしようがありませんが、60fpsで撮影しておけば編集時に通常の再生とスロー再生のどちらにも対応することができます
60fpsで撮影する場合のデメリットはデータ容量が大きくなってしまうことです
初心者がやりがちな失敗と正しい撮影方法
スマホ持ちのまま撮影してしまう
非常に基本的なことですが、カメラの向きは横向きが基本です
インスタに動画アップロードする場合は動画編集ソフトを使って四角く書き出しをしましょう
カメラを動かしすぎる
カメラは極力動かさないように心がけましょう
映画やプロモーションビデオを見ても分かるように多くのカットはカメラを固定した状態で撮影されています
人、街並み、景色にかかわらず10秒カメラを動かさない意識が必要です
特にカメラを左右に動かす(パン)映像は素人っぽい映像になる原因になるので極力避けた方が良いです
カメラを動かす場合の定番のテクニックについては別記事で解説をします
被写体(主役)を考えず撮影してしまう
カメラを動かしすぎることにも通じますが、撮影に慣れていない初心者は一つの映像の中で色々な物を撮影しようとします
一つの映像に主役は一つという意識で撮影すると、結果的にあまりカメラを動かさなくなります
例えば食事のシーンを撮影する場合、手元の映像、口元の映像、引きの映像のように一つのシーンを様々なカットで撮影し編集で繋げるとそれっぽい映像になります
ダラダラ長回しで撮り続ける
明確な意図がない限り、ダラダラ長い動画を撮影するのはやめましょう
長回しの映像は短調でつまらなくなってしまいます
カメラを動かしすぎないこと、被写体(主役)を考えて撮影をすると、結果的に1カットの時間も短くなり、1カット1カットが印象的な映像になります
長回しの映像は編集作業も大変になります
揃えた方がよい機材
NDフィルター
素人っぽい映像を脱却したい、シネマチックな動画を作りたいという方が最初に手に入れるべき機材はNDフィルターです
NDフィルターには濃度が固定式のものと可変式のものがあります、固定式は撮影現場の明るさが変わるたびに付け替えが必要になってしまうため、動画撮影には不向きです
濃度を自由に変えることのできる可変式NDフィルターがおすすめです薦めします
おすすめのNDフィルター
私自身はNeewerのクリップ式の可変式NDフィルターを使用してきました
NDフィルターの性能は値段に比例しますので、このNeewerのクリップ式の可変式NDフィルターも若干の色かぶりと可変NDフィルター特有のXジマが発生することがありますが、可変NDフィルターとしては値段が安く、クリップ式なのでiPhoneに簡単に取り付けることもできるので入門用として割り切って使うにはおすすめです
私自身は当初、 Neewerのクリップ式の可変NDフィルターを使っておりましたが、徐々に画質に満足できなくなり、一眼レフカメラとNDフィルターを共用できるK&F Conceptの可変NDフィルターを使うようになりました
可変NDフィルターは非常に高価ですがが、その中でもK&F Conceptの可変NDフィルターは他のメーカーと比較する安価でコストパフォーマンスが優れていておすすめです
フィルター径も37mm〜86mmまで幅広くラインナップされています
一眼レフカメラと共用を考えると62mm, 67mm, 72mmあたりの径が使いやすそうです
一眼レフカメラ用のNDフィルターをiPhoneに取り付ける方法
私自身は一眼レフカメラ用のNDフィルターを下記のセットアップで取り付けて使用しています
- 使用機材
- Moment iPhone Thin Case:メーカー製品ページ
- 本記事でも紹介したマニュアル撮影のカメラアプリを開発しているメーカーのiPhoneケース
- バヨネット式の機構で同社の外付けレンズを取り付けることができる
- Momentのケースとレンズに関するレビュはこちら => Moment外付けレンズ&ケースレビュー|公式サイトでの購入方法も解説
- Moment iPhone Thin Case:メーカー製品ページ
外付けレンズ
外付けレンズがあると映像表現の幅がさらに広がります
広角レンズ、望遠レンズ、アナモルフィックレンズが代表的な外付けレンズです
シネマチックな動画を制作したい方には、これらのレンズのうち特にアナモルフィックレンズがおすすめです
アナモルフィックレンズは
- 映画で使われているシネスコープと呼ばれている2.39:1の横長映像を撮ることができる
- 強い光を当てた時に横長のレンズフレアが出る
の2点が大きな特徴で、シネマチックな動画作りに大きく貢献してくれます
以下はMomentのアナモルフィックレンズで太陽を撮影した際に発生したフレアの様子です
外付けレンズをリリースしているメーカーで代表的なメーカは以下3社で、いずれのメーカーもアナモルフィックレンズをリリースしています
どのメーカーでも問題ないと思いますが、個人的にはレンズのマウントシステムがMomentのものが一番使いやすいと感じます
- Momentのケースとレンズに関するレビュはこちら => Moment外付けレンズ&ケースレビュー|公式サイトでの購入方法も解説
三脚
カメラは固定して撮影することが基本です
三脚は必ず必要なものではありませんが、安定した映像を撮影するため持っておくと何かと重宝します
iPhoneはカメラと比較すると重量が軽いので、高級な三脚を購入する必要はありません
Amazonにスマホ用の三脚が大量に出回っているので口コミの評判が良いものから自分の好みのものを選択してください
個人的には足を自由に動かすことができるリーズナブルな三脚は一つ持っておいても良いと思います
ジンバル
iPhoneの手ぶれ補正機能は非常に優秀ですが完璧ではありません
ジンバルを使うことにより、手持ちの場合より滑らかに動く映像を撮影することができます
ジンバル内蔵のモータがiPhoneの手ぶれ補正機能では吸収が難しい、チルト(上下)、パン(左右)、ロール(回転)方向のブレを抑えてくれます
以下の3社の製品から選択しておけば間違いないです
DJI / OM4(メーカー製品ページ)
ドローンで有名なメーカーですが、ジンバルメーカーとしても老舗です
その名の通りOSMO Mobile 4は同社の4代目のスマホ用ジンバルで新機種が発売される度に機能と性能がアップしています
3代目で折りたたみ機構が加わり、最新の4代目でマグネットによるスマホの脱着機構が追加され、さらにユーザビリティが向上しています
本記事で紹介したカメラアプリ(FiLMiC Pro / Moment)とも正式に本ジンバルとの連携をサポートしており、ジンバルのボタンでアプリを操作することが可能です
ZHIYUN / Smooth Q2(メーカー製品ページ)
こちらもDJI同様にジンバルメーカーとして老舗です
OSMO Mobile 4のような折り畳み機構がなくても非常にコンパクトでズボンのポケットに入ってしまうサイズです
筐体のほとんどがアルミで作られていて高級があります
規格ものの電池が採用されているので電池交換をユーザー自身でできることメリットです
iPhoneの弱点
残念ながらiPhoneのカメラにも弱点があります
暗所撮影が苦手
iPhoneは動画の暗所撮影が苦手です
iPhoneに限らずスマートフォンは非常に狭いスペースにカメラセンサを実装しなければいけないという構造上の制約がありカメラセンサのサイズを大きくすることができません。
ここでは細かい説明を省きますが、センサが小さいと暗所で十分に光を捉えることが難しい為、結果として撮影現場が暗ければ暗いほど映像にノイズが乗ってしまいます。
一眼レフカメラはiPhoneより遥かに大きいセンサを搭載しているので、暗所性能という点では圧倒的に優れています
そうはいっても、全く対処する方法が無いわけではありません
暗い場所でiPhoneを使った動画撮影のコツは別記事はこちらの記事で解説しています=>【iPhone】 暗い場所で動画撮影するコツ
一眼レフカメラで撮影した様なボケ感が作りづらい
iPhoneで撮影した映像は被写体も背景も全てクッキリと撮影されます
一眼レフカメラは、絞りを調整することで背景(近景)がボケた被写界深度の浅い映像から、iPhoneのような全てがクッキリ映る被写界深度の深い映像のどちらも撮影することができます
ボケ感のある映像はあくまで映像表現の手法なのでどちらが優れていると言う事はありませんが、表現の自由度の点で一眼レフカメラの方がiPhoneより優れています
ちなみに、iPhoneの標準カメラアプリに搭載されているポートレートモードは、一眼レフカメラで得られるボケ感をソフトウエア上で擬似的に再現する機能です
残念ながら、現時点でこの機能は写真のみに対応しており動画には対応していません
iPhoneでボケ感のある動画を撮影するための方法はこちらの記事で解説しています=>iPhoneでボケ感のある動画撮影
まとめ
iPhoneでシネマチックな動画を撮影する為の方法
- フレームレート・シャッタースピード・NDフィルターの設定
- フレームレートを24fpsに設定する
- 日中の撮影は適正露出(明るさ)とモーションブラーを得るためにNDフィルターを使用する
- iPhoneの標準カメラはシャッタースピードを調整できないので、実際のモーションブラーの量を目で確認しながらNDフィルターの濃度を調整する
- マニュアル撮影可能なアプリの場合はシャッタースピードをフレームレートのおよそ2倍に設定しNDフィルターで露出(明るさ)を調整する
- Log撮影
- マニュアル撮影ができるFiLMiC Pro / Momnet はどちらもLog撮影に対応
- Log方式で撮影することで編集時に明るさや色味を調整し自分の好みの世界観に仕上げることができる
- スローモーション撮影
- スローモーションを取り入れるだけで動画がシネマチックになる(多用しすぎに注意)
- スローモーションで撮影するか迷った時は、とりあえず60fpsに設定し編集時にスローにするか・しないかを判断する
- 撮影方法
- iPhoneは横向きで撮影する
- できる限りカメラを動かさない
- 主役は一つの映像に一つ
- 1カット10秒以内を基本に
- 機材
- NDフィルターは動画撮影に必須の機材
- 三脚、ジンバルを使うことでより安定した動画を撮影することができる
- さらに表現の幅を広げたい人には外付けレンズもおすすめ(特にアナモルフィックレンズ)
- iPhoneの弱点
- iPhoneは動画の暗所撮影が苦手
- iPhoneで一眼レフカメラのような背景がボケた映像を撮影することが難しい
動画編集でさらに動画の質を上げる
シネマチックな動画を制作するためには、撮影の知識だけ編集の知識も必要になります
撮影技術と編集技術が一体となって初めて完成度の高いを動画になります
本記事では撮影に焦点を当てて解説をしましたが、今後、初心者向けの動画編集に関する記事も掲載していく予定です
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