本記事では、動画撮影の時のカメラの正しい設定が分からない、撮影した映像が素人っぽくなってしまうという悩みを抱えてるいる方に向けて、動画撮影に特化したカメラ設定について詳しく解説します
本記事を読めば、記録サイズ(解像度)・フレームレート・シャッタースピード・絞り(F値)・ISO感度・ホワイトバランス、をどのように設定したら良いかが分かります
本記事の内容は一眼レフカメラだけでなく、マニュアル設定に対応したデジカメやOSMO pocketのような小型カメラジンバル、マニュアル設定可能なカメラアプリをインストールしたスマートフォンにも共通して使える考え方です
撮影画素数はHD、フルHD、4Kのどれがいい?
フルHD以上の画素数をおすすめします
HD → フルHD → 4K の順で映像がきめ細かくなり
HDは大きな画面で見ると画像の粗さが目立つ為、画質にこだわる方は使用を避けた方が無難です
4KはフルHDと比較して4倍の画素数があり、編集時に2倍にズームしてもフルHD相当の画質が得られるため自由度が高いですが、データ容量が非常に大きくなってしまうことと、編集時により性能の高いPCが必要になるというデメリットがある為、アマチュアには画質とデータの取り扱いがしやすいフルHDが実用的な解像度です
私自身は上記デメリットを考慮しフルHDでの撮影を基本とし、必要に応じて4Kで撮影してます
撮影フレームレートの決め方
カメラ設定において、解像度と合わせて最初に考えなければいけないことは「撮影フレームレートをいくつにするか?」ということです
フレームレートとは?
「1秒間あたりに何コマの静止画で動画を構成するか」を示す数字で単位をfps(エフピーエス)で表します
fpsの数値が大きければ大きいほど映像が滑らかにヌルヌル動きます
フレームレートはいくつが良いか?
映画やプロモーションビデオのようなオシャレや質感の動画を撮りたい人は24fpsでの撮影がおすすめです
フレームレートが高いと滑らかな映像になりますが、フレームレートが高ければ高いほど良いというわけではありません
表現したい映像の質感や動画の目的によって撮影フレームレートを決めて下さい
例えばテレビ放送では30fpsが使われてますが、映画作品の多くはテレビ放送より低い24fpsで撮影されており、この24fpsが映画独特の世界観を作る一つの要素になっています
60fpsはスポーツなど臨場感が必要な映像やスローモーション映像に使われます
フレームレートが高ければ高いほどデータ容量が大きくなってしまうことが注意点です
私はシネマチックな質感の映像が好みなので、基本は24fpsで撮影し、スローモーションが必要な場合には60fpsで撮影します
動画においてとても大切なモーションブラー
露出補正(明るさの補正)の解説の前に、これらの設定値の前提条件となるモーションブラーについて解説をします
フレームレートの項で解説した通り、動画は静止画を連続的に繋げて再生することで作られています
動画撮影=高速の写真撮影 とも言えます
この一枚一枚の静止画に写っている被写体の動きを全くブレなく撮影してしまうと、動画として再生した時にパラパラ漫画のようなぎこち無い映像になってしまいます
自然な映像に見せる為には、この一枚一枚の静止画に写っている被写体の動きに適度なブレが必要となります
モーションブラーとはこの映像のブレ(残像感)のことで、モーションブラーの量はシャッタースピードで調整をします
自然なモーションブラーを得る為のシャタースピード
撮影フレームレート(fps)のおよそ2倍のシャッタースピードが適正値で人間の目にとって自然なモーションブラーが得られます
24fpsで撮影する場合にはおよそ2倍の1/50秒が適正なシャッタースピードです
映像制作において昔から適用されてきた基本ルールなので私は素直にこのルールに従っています
難しく考えすぎないことも大事です
シャッタースピードとフリッカー対策
夜間など照明が点灯している環境で撮影する場合のシャッタースピードの値は少し注意が必要です
蛍光灯は電気の交流周波数に合わせて肉眼で確認できないスピードで点灯と消灯を繰り返して一定の光量を維持する仕組みで動いています
この蛍光灯の点灯と消灯のタイミグ(周波数)がカメラで設定したシャッタースピードとズレるとフリッカーと呼ばれる映像のチラつきが発生してしまいます
対策は簡単で、シャッタースピードを交流周波数の倍数(1倍、2倍・・・)且つ、撮影フレームレートのおよそ2倍に設定すればOKです
電気の交流周波数は東日本と西日本で異なりますので、撮影する地域に合わせてシャッタースピードを設定してください
- 地域ごとの交流周波数
- 東日本:50ヘルツ
- 西日本:60ヘルツ
動画撮影におけるカメラの露出補正(明るさの補正)
露出・露出補正とは?
露出とは写真や動画を撮影するときにカメラに取り込まれる光の量のこと
撮影する環境の明るさやカメラのレンズの絞り・シャッタースピードによってカメラに取り込まれる光の量は変化します
露出補正はカメラに取り込む光の量を最適化することです
なぜ露出補正が必要?
適正露出で撮影しないと写真や動画が暗すぎて何も写っていない、逆に明るすぎて白飛びしてしまう、ということが起こります
これを防ぐ為に、カメラが取り込む光の量を調整する露出補正を行います
露出を自動で補正してくれるオートモードは、そこそこの映像を手軽に撮影するには非常に便利な機能ですが、被写体の動きや周囲の明るさが刻々と変化する動画撮影においては
- 映像のちらつき
- 明るさの急激な変化
- 自然なモーションブラー(残像感)が得られない
原因になります
手持ちのカメラがマニュアルの露出補正に対応している場合には、より質の高い映像を撮影する為にマニュアルで露出補正し撮影することをおすすめします
露出補正の方法
カメラの露出補正は
- シャッタースピード
- 絞り(F値)
- ISO感度
で調整を行います
それぞれの設定と明るさの関係は以下の図の通りです
前項で解説した通り、動画撮影においては撮影フレームレートの2倍値でシャッタースピードを固定する為、露出補正はISO感度と絞りのみで行う必要があり、シャッタースピードで露出補正はしません
この点が写真における露出補正の考え方と異なります
絞りの役割
明るさと背景のボケ具合(被写界深度)を調整するためのものです
- 絞りを開ける(F値を下げる)=> 明るくなる / 背景のボケが強くなる
- 絞りを閉じる(F値を上げる)=> 暗くなる / 背景のボケ感が小さくなる
私自身は背景がボケた映像を撮影する為に絞りは開放付近(開放が一番明るい)で設定することが多く、実運用上は絞りを使って明るさを調整することはほとんどありません
明るさを微調整する範囲で絞りを調整してます
ちなみにOsmo pocketやスマホはそもそも絞りが固定です
ISO感度の役割
ISO感度とはカメラの中に入ってきた光をどの程度電気的に増幅するかを表す数値です
カメラの中に取り込まれる光の量はシャッタースピードと絞りによって決まります
この光の量が少なく暗すぎる場合はISO感度を上げて映像(写真)を明るくすることができます
ただし、ISO感度を上げるとその分ノイズ(映像・写真のざらつき)が増えてしまいますので、ISO感度はできる限り小さく抑えることが望ましいです
-
- ISO感度を上げる => 明るくなる / ノイズが増える
- ISO感度を下げる => 暗くなる / ノイズが減る
絞りで明るさの調整が難しい場合、ISO感度で明るさを調整することになるのですが、日中の屋外のような光量の多い環境下ではISO感度を最低にしても映像が白飛び(露出オーバー)が発生してしまうことが起きます
撮影環境が明るすぎて絞り・ISO感度でも露出補正しきれない場合
そこで登場するのがNDフィルターです
NDフィルターはカメラ用のサングラスのようなもので、NDフィルターをカメラに装着することにより、サングラスと同じ原理でカメラに入る光の量を減らすることができます
フィルターの減光量は「ND2、ND4、ND8・・・」のように表し、それぞれフィルターを通過する光の量は「1/2、1/4、1/8・・・」になります
動画撮影の場合にはおよそND2〜ND400程度までが使用され、撮影環境が明るければ明るいほど数値の大きいNDフィルターを選択します
可変NDフィルターのすすめ
NDフィルターには減光量が固定のものと可変のものがありますが、動画撮影の用途には可変NDフィルタをおすすめします
日中の屋外で動画撮影する場合には、「これ以上絞りを閉じることができない」「これ以上ISO感度を下げることができない」状態で撮影することが多く、NDフィルターを付けっぱなしでNDフィルターのみで明るさの調整を行うことになります
固定式のNDフィルターの場合には、日陰に入ったり、太陽が雲に隠れたりして撮影現場の光量が変化するたびにフィルターを付け替える必要があり非常に面倒ですし、フィルターを付け替えている時に撮影のチャンス逃すということが起きてしまいます、
一方、可変NDフィルターであれば、フィルターをそのものはレンズに付けっぱなしにして、リングの枠を回すことで減光量を無段階で変化させることができ、フィルターの取り付け取り外しの手間を大幅に軽減することができます
カメラの次に必ず買うべき機材はNDフィルターと言えるほど動画撮影においては必須の撮影機材なので、NDフィルターの使い方や注意点、おすすめのNDフィルターについては別記事で詳しく解説をしています
ホワイトバランスはオート設定を避けよう
ホワイトバランスはオート設定を避けた方がベターです
オート設定の場合は一つの映像の中で意図せず色味が変わってしまう可能性がある為です
太陽光・曇・白熱灯・等、撮影する環境に合わせてカメラに用意されているベストなホワイトバランスを選択しましょう
カメラの機種によってはオートの設定でも録画ボタンを押した瞬間のホワイトバランスで固定できるものもありますので、その場合にはオート設定でも問題ありません
動画撮影におけるカメラ設定まとめ
- 撮影画素数を決める
- フルHDが実用的(画質とデータサイズのバランスが良い)
- 4Kは高画質だが
- データサイズが重い
- 動画編集するパソコンにより高いスペックが必要
- 撮影フレームレートを決める
- シネマチックな動画を撮影したい場合は24fps
- 臨場感のある映像作りたい場合は60fps
- 編集でスローモーションにしたい場合は60fps もしくは120fps
- シャッタ―スピードを決める
- シャッタ―スピードは設定したフレームレートのおよそ2倍に
- 夜間の撮影はフリッカーに注意
- 絞り(ボケ感)を調整する
- 得たいボケ感を優先し明るさの調整は微調整の範囲で行う
- ISO感度を調整する
- ISO感度を上げすぎるとノイズの原因になるためできる限り小さい値がベター
- 絞りとISO感度を調整しても撮影現場が明るすぎて白飛び(露出オーバー)してしまう場合
- NDフィルタで減光する
- 固定式ではなく可変NDフィルターがおすすめ
- ホワイトバランスを決める
- オート設定は使わず固定の設定がおすすめ
本記事では動画撮影おけるカメラ設定の基本的な考え方に絞って解説をしてきました
各設定項目を掘り下げた解説は別の記事で用意していく予定です
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