動画撮影においてカメラの次に大事な機材と言っても過言ではないNDフィルターについて解説します
NDフィルターはカメラ用のサングラスのようなもので、レンズに装着することでカメラに入る光の量を抑え、適切なシャッタースピードとボケ感で撮影する為に使用します
NDフィルターを使うことで、映画やプロ モーションビデオのような雰囲気のある映像に近づけることができます
「どうしてNDフィルターが必要なの?」「NDフィルターの使い方がわからない」「どんなNDフィルターを買ったら良いの?」
本記事でこういった疑問に答えます
NDフィルターとは?
NDフィルターはカメラ内に入る光の量を減らす為の機材です
レンズの先端に装着して使用します
動画撮影にNDフィルターが必要な理由
NDフィルターは、カメラに入る光の量を抑え、適切なシャッタースピードと狙ったボケ感(絞り)で撮影する為に使用します
NDフィルターが必要な理由を理解するには、動画撮影におけるカメラ設定の基本ルールと設定の手順が頭に入っていると理解しやすいです
動画撮影におけるカメラ設定の基本ルールと設定手順を知ろう
ここでは、最低限知っておくべきカメラ設定の基本ルールと設定手順を説明します
カメラ設定の考え方と具体的な設定手順は別記事で詳しく解説しています => 動画撮影の為のカメラ設定・徹底解説
- 撮影フレームレートを決める
- 24fps, 30fps, 60fps, 120fpsの中から選択
- 適切なモーションブラーを得る為にシャッタースピードを撮影フレームレートのおよそ2倍に固定設定する
- フレームレートが24fpsの場合には1/50秒
- 好みのボケ感が得られように絞りを調整する
- 開放(F値が小さい側)に設定することが多い
- ISO感度を調整する
- 明るくしたい場合にはISO感度を上げる
- 暗くしたい場合にはISO感度を下げる
どんな時にNDフィルターを使用する?
4番まで設定した結果、それでも映像が白飛び(露出オーバー)の場合にNDフィルターを使用し明るさを調整します
ただし、上記設定をしなくとも、NDフィルターが必要な場面は予測ができます
日中の屋外や外光が強く差し込む室内での動画撮影においては必ずNDフィルターが必要になります
このような環境で撮影する場合にはNDフィルターを常備してください
NDフィルターの減光量を表す番号
NDフィルターには減光量に合わせてND2、ND4、ND8・・・のように番号が付いています
数値が大きくなるほどフィルターの濃度が濃くなり減光量が大きくなります
- ND2・・・1/2に減光
- ND4・・・1/4に減光
- ND8・・・1/8に減光
固定式と可変式のNDフィルター
NDフィルタには減光量が固定式のものと、可変式のものがあります
用途・目的に合わせて適切なものを選択します
NDフィルターの濃度調整
2つ以上のNDフィルターを組み合わせて濃度を調整することができます
例えば、ND64を持っていなくてもND4とND16を持っていれば、その二つを重ねて使用することでND64として使用することができます
物理的にはいくつでも重ねて使うことができますが
- 色味の変化が大きくなってしまう
- NDフィルターが映り込んでしまう可能性がある
というデメリットがある為、3つ以上を重ねて使うことはあまりおすすめしません
NDフィルターの選び方
固定式と可変式のどっちが良い?
動画撮影の用途には可変NDフィルターがおすすめです
前述の通り、NDフィルターは日中の屋外や光量の多い撮影環境で使用します
常に光量が変化する日中の撮影においては、取り付けっぱなしで運用できる可変NDフィルターの方がより実用的です
可変NDフィルターのデメリットと対処方法
可変式はその構造上、濃度の範囲が広いもの(例えばND2〜ND400)ほど濃度が最大値の付近でX状のムラが発生しやすいという欠点があります
また、焦点距離が短い(広角)レンズを使う場合にもX状のムラが発生しやすいです
この問題を回避する為に以下を意識してください
- 少し大きめのNDフィルターを選択する
- 焦点距離が短い(広角)のレンズを使用する際にX状のムラの発生を抑制できる
- 濃度の最大値付近はなるべく使わないようにする
- メーカーや個体差でどの程度の濃度からX状のムラが発生するか変わります
- 実際に運用する中で使用できる範囲を見極めましょう
- ND2やND4のような濃度が薄めの固定NDフィルターと組み合わせて使用する
- 例)固定式ND4と可変式のND128付近を重ねて使うとND400〜ND500相当になる
NDフィルターのサイズはどのくらいが良い?
お手持ちのレンズのフィルター径より少し大きめのサイズがおすすめです
- 大きめサイズのメリット
- ステップアップリングを使うことでより多くのレンズに装着することができる(大は小を兼ねる)
- よって、レンズの大きさに合わせてNDフィルターを買い足すよりお財布に優しい
- 可変式NDフィルターの場合にはX状のムラの発生を抑制する効果がある
ステップアップリングは500円前後で購入することができます
ステップアップリングを使った運用事例は本記事の下段で解説していますので参考にしてください
おすすめのNDフィルター
NDフィルターの性能は値段に比例します
安すすぎるNDフィルターは、色かぶり、X状のムラが発生しやすい、壊れ安い、等の問題が発生するリスクが高くなりますので購入は避けるべきです
NDフィルターのメーカー
コスパ重視ならK&F、予算に余裕がある場合は品質と性能が高い国産メーカーのものをおおすすめします
- 日本のメーカー
- ケンコー
- マルミ
- HOYA
その中でもケンコーのバリアブルNDX Ⅱがおすすめです
ケンコーの可変NDフィルターには、着脱可能なレバーが付属していることが特徴です
カメラを構えながらの濃度調整は意外と繊細な作業なので、レバーで濃度調整できるのはうれしいです
品質・性能が良いことに間違いはありませんが価格が2万円以上してしまうことが難点です・・・
- 海外のメーカー
- K&F concept
- TIFFEN
海外系のNDフィルターには極端に値段が安く、品質・性能が悪いものが存在するので注意が必要です
上記2社が有名どころです
私自身はK&Fの可変NDフィルターとケンコーの固定NDフィルターを組み合わせて運用しています
K&F Conceptの可変NDフィルターを購入した理由
K&Fの可変NDフィルターはコスパがとても高いです
国産メーカーのフィルターの方が性能が良いことは確かなのですが、安いもので2万円台、高いもので3万円台と、私のようなアマチュアには正直手が出しづらいお値段です
それに対して、K&Fは値段が国産の半額以下で購入することができネット上の口コミ評価も上々です
実際に使用してみた感想は、多少色かぶり(薄ら黄色よりになる)があるものの許容範囲で、アマチュアには十分な性能であると感じています
これから動画撮影に本格的に取り組みたいと考えている初心者におすすめできるメーカーです
- K&F conceptのNDフィルター
- 国産と比較すると半額以下で購入することができる
- 色味の変化はわずかにあるが許容範囲
- X状のムラが発生しにくい
ケンコーの固定NDフィルターを購入した理由
固定式のNDフィルターは可変式と比べる値段が安いです
この為、安さは追求せず、できるだけで品質と性能が高いケンコーの固定NDフィルタを購入しました
K&Fの可変式NDフィルターは濃度の可変範囲がND8-ND128なので、天気の良い日中の撮影では対応しきれないことがあります
このような時に固定式のNDフィルターのND2またはND4を、K&Fの可変式NDフィルターと組み合わせて使用しています
可変式なフィルターの最大濃度がND128の場合、固定式のND4と組み合わせれば最大ND400〜ND500相当のNDフィルターとして運用できます
NDフィルター・ステップアップリングの運用事例
私が所有しているソニーのミラーレス一眼レフカメラ(α6400)のキットレンズ(SELP1650)にステップアップリングと62mmのNDフィルターを装着した事例を紹介します
ケンコーの固定NDフィルターとK&Fの可変NDフィルターのサイズはいずれも62mmに対して、キットレンズ(SELP1650)のフィルター径は40.5mmなので、ステップアップリング2個を介して62mmのNDフィルターを装着しています
ステップアップリングを2つ使っているのは、40.5mmから62mmに直接変換するステップアップリングが販売されてい なかった為です
便利アイテム
最後に、UURingのNDフィルター用クイックリリースリングのご紹介です
この商品めちゃくちゃ便利です
NDフィルターを使わない時はヒンジを上に跳ね上げるだけです
イチイチフィルターを取り外す必要がなくなります
私自身は動画撮影の合間にスナップ写真も撮影します
写真撮影をする時はNDフィルターを取り外し、動画撮影に戻る場合には再度NDフィルターを取り付ける必要あるのですが、この作業がものすごく煩わしいです
明るい屋外から室内に移動した際にも同様にNDフィルター付け外しの煩わしさがあります
UURingのNDフィルター用クイックリリースリングを購入してからは、この煩わしさから解放されストレスフリーです
このアイテムのお陰でフィルターの取り付け取り外しに時間をとられて撮影チャンスを逃すこともなくなりました
クイックリリースリング 本当にオススメです
まとめ
- 動画撮影にNDフィルターが必要な理由
- 適切なシャッタースピードと狙ったボケ感(絞り)で撮影することが目的
- 映画やプロモーションビデオの映像の質感に近づけたい場合には、晴天の屋外のような明るい環境では必ずNDフィルター装着する
- NDフィルターの種類
- 濃度が固定のものと可変のものがある
- NDフィルターの濃度調整
- 固定式は明るさに応じて付け替えが必要
- 可変式は単体で濃度調整ができる
- 複数のNDフィルターを重ねて使用することができる(固定式と可変式の組み合わせも可)
- NDフィルターの選び方
- 動画撮影には明るさの変化に応じて付け替えの必要がない可変NDフィルターがおすすめ
- 大きめのサイズを購入する(ステップアップリングでサイズ調整する)
- 安すぎるNDフィルターの購入は避ける
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