FiLMiC Proの特徴
FiLMiC Proを使うとiPhoneの標準カメラではできないマニュアル撮影とLog収録ができるようになります
Logはプロの撮影現場で使用されている収録方式で、撮影後に色や明るさの編集をすることを前提にした収録方式です
マニュアル撮影とLog撮影の機能を使うことでiPhoneの標準カメラでは難しいシネマティックな質感の映像を撮影することができます
- FiLMiC Proの価格: ¥1,840( 2021年4月現在)
- Log収録を可能にするCinematographer Kit:¥1,720(アプリ内課金, 2021年4月現在)
FilMiC Proの映像は映画品質
以下の動画は一眼レフカメラよりもさらに高額な映画撮影用のカメラとiPhone7の映像を比較検証しているる動画です
iPhoneの映像は標準のカメラアプリではなくFiLMiC ProのLog撮影の機能を使って撮影されています
一見すると映画撮影用のカメラなのかiPhoneなのか判別が難しいほどiPhoneの映像が高画質であることが分かります
マニュアル撮影できる
FiLMiC Proを使うと、標準のカメラアプリが自動で調整してしまうカメラの設定をマニュアルで調整できるようになります
動画撮影する時のカメラの基本的な設定項目は以下の6つです
これらの設定項目のうち、iPhoneの標準カメラアプリでマニュアルで調整することができるのは撮影フレームレートのみです
FiLMiC Proは絞り以外の5項目をマニュアルで調整することができるので、より本格的な映像撮影ができるようになります
(iPhoneのカメラは絞りが固定なのでFiLMiC Proであっても調整できません)
Log撮影できる
FiLMiC Proのアプリ内でCinematographer Kitを追加購入すると、Log(ログ)という方式で映像を記録することができるようになります
Log撮影は動画編集時の明るさや色味の調整の自由度が大きい映像の収録方式です
ダイナミックレンジ(明るさの範囲)と再現する色の範囲を広く収録するので編集時の自由度が高くなります
以下はFiLMiC Proの公式ページに掲載されている、iPhone標準のカメラアプリとFiLMiC Proのダイナミックレンジ(明るさの範囲)を比較した結果です
標準のカメラアプリに対してFiLMiC Proは3段階分広く明るさを表現できることが分かります
結果として、Logで撮影するとiPhoneの標準カメラで撮影した映像より明暗や色味を調整できる範囲が広くなります
Logで撮影した映像はコントラスト(明暗差)と彩度が低い眠たい映像で収録される為に、動画編集ソフトを使って狙った明るさと色味に調整をする必要があることが注意点です
動画編集ソフトを使ってLUT(適正な色味に変更してくれるプリセットのようなもの)を適用する方法こちらの記事で解説しています =>iPhoneでLog撮影する方法 | Log撮影とは?メリット・デメリットも解説
FiLMiC Pro+iPhoneで一眼レフカメラ並みの機能を実現
Log撮影はハンディーカムや低価格のデジタルカメラには搭載されておらず、中高級機種以上の一眼レフカメラに搭載されている機能です
FiLMiC Proであれば数千円の投資でこの機能を手に入れることができます
さらに、iPhone12シリーズであればカメラ本体だけで40万円以上するような高級機にしか搭載されていない10bitのLog撮影に対応しており、より高画質な動画撮影が可能です
*iPhone11シリーズ以前のiPhoneは8bitでしか撮影できません
一眼レフカメラは持っていないけどシネマティックな映像作品を撮影してみたい人、将来一眼レフカメラを使った動画撮影にチャレンジしたいと考えている人は購入することをおすすめします
FiLMiC Proを使った作例
以下は私自身がiPhone12 Pro MaxとFiLMiC Proて撮影した映像です
Logで撮影し動画編集ソフトで明るさと色を編集してます
動画の後半は色編集前後の比較を行なっています
プロ並みの映像とまではいきませんが、FiLMiC Proを使えばアマチュアでもこのような質感の映像をiPhoneで撮影することができます
FiLMiC Proの使い方
撮影前の基本設定
動画の保存先の選択
動画の保存先をFiLMiC Proのアプリ内とiPhoneの写真アプリ(カメラロール)のどちらか選ぶことができます
好みの保存先を選択してください
FiLMiC Proのアプリ内に保存した動画はメイン画面の再生マークをクリックすると一覧が表示されます
アスペクト比(動画の縦横の比率)
- 推奨設定:16:9
- iPhoneの標準のカメラアプリの動画は16:9で収録されます
- 16:9はテレビやYoutubeで使われている一般的なアスペクト比なので、特別な理由がない限り16:9を使いましょう
解像度
- 推奨設定:HD 1080pまたは4K
- 4Kは編集時に映像を2倍に拡大してもHD 1080pと同等の画質を確保できる為、編集の自由度が上がりますが、高画質と引き換えにファイルサイズが大きくなってしまうことと、動画編集をする際の処理の負荷が大きいことがデメリットです
- FiLMiC Proは4Kの解像度を選択した場合、30fpsよりも高いフレームレート(60fpsや120fps)を設定できない事が注意点です
ビットレート
- 推奨設定:Apple Standard以上
- Economy → Apple Standard → FiLMiC Quality → FiLMiC Extremの順にビットレートが高くなりこうが画質になります
- ビットレートを高くするとファイルサイズが大きくなってしまいますが、ビットレートは画質に直結する為、最もビットレートの高いFiLMiC Extreamがおすすめです
記録bit *iPhone12シリーズのみ設定ができます
- 推奨設定:10bit
- iPhone12シリーズは8bit/10bit/Dolby Vison HDR(10bit)を選択することができます、iPhone11シリーズ以前は選択できません(8bitのみ)
- 10bitのLog撮影は8bitのLog撮影よりも表現できる色、明るさの階調が劇的に増えるので編集時の自由度がさらに増します
コーデック
- 推奨設定:HEVC
- iPhone12シリーズでビット深度:10bitまたはDolby Vison HDRを選択した場合、強制的にHEVCになります
- iPhone12シリーズでビット深度:8bitを選択した場合、または、iPhone11シリーズ以前の機種はHEVCのON/OFFを選択できます
- HEVCは従来のH264と同等の画質を確保しつつファイルサイズを抑えることのできる圧縮方式です
- ファイルサイズを抑える為にHEVCを推奨しますが、まれにHEVCに対応していない動画編集ソフトがある為、そのような動画編集ソフトを使用される場合にはH264で収録してください(HEVCをONにしない)
収録ガンマカーブ
FiLMiC Proの特徴の一つであるLog撮影はこの項目で設定します
- Cinematographer Kit:¥1,720をアプリ内で課金して使えるようになる機能です
- ここでは詳しい説明は割愛しますが、ガンマカーブとはカメラのセンサーが取り込んだ光をどのようにデジタル情報に変換するかを決める為のものです
- 推奨:
- 初心者: Natural
- Naturalを選択するとiPhone標準カメラアプリと同じ映像の質感になります
- 中上級者: Log
- 8bit(iPhone11以前の機種)はLog V2という名称
- 1bit(iPhone12)はLog V3という名称
- Logを選択すると人間の目が敏感な暗部の階調に、より多くの情報を割り振るように設定されます
- 動画編集ソフトを使って明るさと色味を調整することでiPhone標準のカメラアプリよりも広いダイナミックレンジを得ることができます
- 初心者: Natural
撮影前に理解しておくべきマニュアル撮影の基本
FiLMiC Proの撮影時の設定を解説する前に、動画撮影をする時の6つの基本設定について解説をします
これらの基本設定を理解することでFiLMiC Proをスムースに設定できるようになります
- 撮影フレームレート
- 1秒間あたりのコマ数のこと
- フレームレートが高いと滑らかな映像になる
- フォーカス
- みなさんご存知と思いますので細かい説明は割愛します
- 通常はオートでフォーカスを合わせることが多いですが、どうしても狙った場所にピントが合わない場合にマニュアルで調整します
- ホワイトバランス
- 白を白として撮影するための機能
- 太陽やライトの影響で白が青みがかったり赤みがかった時に本来の白に近づける役割
- ISO感度
- カメラの中に入ってきた光をどの程度電気的に増幅するかを決める数値
- ISO感度を上げると明るくなるがノイズが大きくなるので、ISO感度は出来る限り低く抑えることが望ましい
- シャッタースピード
- シャッターを開ける時間のこと
- シャッターを開ける時間で明るさをコントロールする
- シャータースピードを遅くすると映像のブレが大きくなるが明るくなる
- 映像の世界では「ブレ=悪」ではなく、モーションブラーと呼ばれる動く被写体に適度なブレがある状態の方が人間の目にとって自然な映像になる
- 絞り
- ボケ感と明るさを制御する設定
- 絞りを開けるとボケ感が強くなり明るくなる
FIiLMIiC Proはこれらの設定のうち、撮影フレームレート、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度、シャッタースピードをマニュアルで調整することができます
露出補正が最重要な設定
これらの設定の中で、撮影時に特に重要な設定が露出補正です
iPhoneは絞りが固定なので、FiLMiC Proでマニュアルで露出(明るさ)を調整する時は、シャッタースピードとISO感度のみで行います
シャッタースピードは固定する
さらに動画撮影の場合には、人間の目にとって自然に見えるモーションブラーと言われる動きにのブレを作り出すために、シャッタースピードを撮影フレームレートの2培値に固定することがセオリーです
シャタースピードをフレームレートの2倍値に固定するので、結果としてFiLMiC Proで露出(明るさ)の調整を行う場合にはISO感度だけで行うことになります
NDフィルターでFiLMiC Proの性能を100%引き出す
ここで問題になるのが、日中のような明るい環境での撮影です
明るい環境で撮影する場合には、ISO感度を限界まで下げても映像全体が真っ白に飛んでしまう(白飛び)現象が発生してしまいます
このような場合には、何らかの方法で光の量を減らしてあげる必要があります
そこで登場するのがカメラのサングラスの役割を果たす、NDフィルターと呼ばれる機材です
NDフィルターを使い、適切な明るさになるまでカメラに入る光の量を調整します
NDフィルターが無い場合には、適切な明るさを得る為にシャッタースピードを早くする必要がありますが、シャッタースピードが早くなるとモーションブラーのないパラパラ漫画のような映像になってしまいます
FiLMiC Proの性能を100%引き出す為に、NDフィルターを合わせて用意することをおすすめします
iPhoneにNDフィルターを取り付ける方法はいくつかあるのですが、私自身はMOMENTのレンズマウント付きケース/Moodgogのフィルターアダプター/K&F Conceptの可変NDフィルターを組み合わせて使用しています
MOMENTのケースについてはこちらの記事でも解説しています=>Moment外付けレンズ&ケースレビュー|公式サイトでの購入方法も解説
ここまで解説したフレームレート、露出補正、モーションブラー、NDフィルターについてはこちらの記事でも解説しています
【初心者向け】iPhoneでシネマチックな動画を撮影する方法
撮影時の設定
*FiLMiC Proの設定の前に前項の「撮影前に理解しておくべきマニュアル撮影の基本」を確認してください
カメラの選択
- 超広角、広角、望遠の3つのカメラを搭載している機種は3つのカメラを選択することができます
フレームレート
- 推奨設定:24fps
- シネマティックな質感の映像を撮影したい場合には24fpsをおすすめします(一般的な映画は24fpsで撮影されています)
- 動画編集時にスローモーションを使用する場合には60fpsまたは120fpsを選択してください
- 60fps → 24fps : 40%のスローモーション
- 120fps → 24fps : 20%のスローモーション
- 60fps以上を選択する場合には解像度が1080pに制限されてしまいますので注意しください
シャッタースピード/ISO感度
シャッタースピードの設定
- 設定したフレームレートの2倍になるように設定します
- 設定したフレームレートは撮影中は固定したままです
- 推奨設定
- フレームレートが24fps → 1/48s
- フレームレートが30fps → 1/60s
- フレームレートが60fps → 1/120s
ISO感度の設定
- ISO感度はできる限り低く抑えるように設定をします
- ISO感度を限界まで下げても映像が白飛びしてしまう場合には、前項で解説したNDフィリターを使用して適切な露出(明るさ)になるように調整してください
- 夜間や暗い環境で撮影する場合には、適切な明るさを得られるようにISO感度を上げて調整しますが、ISO感度を上げるとノイズが増えてしまうので注意してください(詳しい解説=>【iPhone】 暗い場所で動画撮影するコツ)
ホワイトバランス
- 撮影する環境:電球・晴れ・曇り・蛍光灯・プリセットA/Bからオートホワイトバランス(AWB)から選択します
- 推奨:オートホワイトバランスの赤色モード
- 撮影に慣れていない初心者は、録画ボタンを押した瞬間にホワイトバランスが自動的に固定される「オートホワイトバランスの赤色モード」を選択しておけば、撮影中にホワイトバランスが変わってしまう失敗を防ぐことができます
フォーカス
- 被写体にフォーカスが合うようにスライダーを調整します
終わりに
ここまでの設定を終えれば、あとは録画ボタンを押して撮影を開始してください
本記事ではFiLMiC Proを使う上で最低限知っておくべき機能について解説をしました
FiLMiC Proにはまだまだたくさんの機能があるので機会があれば紹介をしていきます
コメント
コメント失礼いたします。
フィルミックプロを使用しています。
何度かの撮影により、残り容量(円グラフ)が緑色から黄色へ変わりました。これは残り容量が僅かになった状態でしょうか?
撮影したスマホ(iPhone)内の動画を消去し、編集アプリ内の動画も消去しました。バックアップしている動画もありません。
しかし、残り容量(円グラフ)は変わらず黄色の状態です…
どう対応したら良いでしょうか?
よろしくお願いいたします。
ご質問ありがとうございます。
いただいた情報だけで判断することは難しいですが可能な範囲で回答いたします。
写真アプリ内で動画を削除した後、ゴミ箱に移動した動画を削除されているでしょうか?
ゴミ箱に移動した動画を削除しない限りiPhoneの容量が増えません。
設定アプリ→一般→ iPhoneストレージ よりiPhoneのストレージ容量がどのアプリにどの程度使用されているかを確認することができます。
この機能を使ってiPhoneのストレージ容量を圧迫されている原因を特定されてはいかがでしょうか?